体験とあそび、自ら考え挑戦する子どものまち「なごみん横丁」

掲載号: りたらしい 124 号
発刊日 2023年11月

 毎年夏休み、小学生を対象に北部地域交流センター・なごみんで開催している「なごみん横丁」。これは、大人に指示・干渉されず、自分の頭で考え自由に意思決定ができる特別な環境下で、“まち”をつくっていく体験をすることで、夢見る力や創造する力、協働する力を養うことを目的としたイベントです。普段の生活では、決められたことに従い、違う年代の子と接することが少ない子どもたちにとって、なごみん横丁は大変貴重な機会で、小さな成功体験を積み重ねて成長していく姿を垣間見ることができます。

 同事業は、今年で第15回を迎えました。3日間延べ620人の子どもが集まり、延べ140人のボランティアが活動を支える一大イベント。企業との協働も始め進化を続けています。今号は、子どもたちの中で恒例行事になっている同事業のこれまでとこれから、そして「なぜりたがやるのか?」を解説します。

なごみん横丁とは?

▲丁長&議員選挙の様子|立候補者の公約を聞いてシビアに投票する丁民の姿が印象的
 

 なごみん横丁は、子どもたちが市民(以下、丁民)となり、子どもたちだけで運営するミニチュア版の“まち”です。仕事をして、給料をもらい、税金を納めて、稼いだお金(じゃん)で買い物をします。お店を出店するのも子どもたちです。ものすごく売れるお店もあれば、全く売れないお店もあります。売れなかった店主はなぜ売れなかったのか考え改善していくのです。また、選挙を実施し、議員や丁長も選出されます。これらの営みを通して、まちの様々な仕組みを理解することができます。まちを自分たちでよりよくしていくといった取組を創造できることに価値があります。

なごみん横丁のこれまでとこれから

 2007年に、りたと近隣住民による「なごみん横丁実行委員会」を組織し、北部地域交流センター・なごみんのホールを会場にスタートしました。その後、第3回からは会場を全館に広げ、年々参加者が増えていき、活気にあふれる場となりました。第13回までは当日申込ということもあり、1日450人以上集まるように。多くの子ども達が楽しんでくれるのはよいことでしたが、スタッフもてんやわんやで一人一人顔をしっかり見てじっくり話せないことに課題を感じ、「そろそろ人数制限が必要かも…」と考えていました。

 決断するきっかけとなったのは、新型コロナでした。2年連続の非開催。このままやめるのもありなのではという魔のささやきも聞こえました。しかし、夏が近づくにつれて「今年は横丁ありますか?」という多数の問い合わせがありました。楽しみにしている子どもたちがいることを実感し、人数制限を設けて2022年に再開。思い切って200人限定にしたことで一人一人と向き合うゆとりができました。

 子どもが主役のイベントですが、安全に活動できるように学生を中心とした多くのボランティアや市民活動団体、企業などが協力してくれていることも、なごみん横丁の特徴の一つです。ボランティアアンケートでは、「大人が入らず子ども同士で成り立っていることに驚いた」「子どもたちが自主的に動いていて驚いた」「貴重な経験で刺激になった」といった感想をいただくなど、関わる大人にとっても新鮮な学びにつながっています。


りたがなぜ、こどものまちを?

 こどものまちの目的は、「子どもの創造性や自発性を高める」ためと言えます。そのような目的の事業をなぜ、りたが力を入れて行っているのか…。それは、当たり前のようにまちに関心を持てる次世代を育てるためです。

 昨今の地域活動の課題はもっぱら担い手不足と言えます。人口減少、定年延長、女性活躍などに加え、考え方の多様化で、まちのことまで構っていられないという人が多いのは間違いないでしょう。これ自体は否定できない事実です。しかし、次世代にはもっとポジティブに、「あなたの存在・行動の一つ一つがまちの要素になっている」という感覚を持ってもらいたいと考え、なごみん横丁に関わっています。

 個性や多様性を活かして横丁のまちを運営する経験をした子どもたちが、大人になり当たり前のように地域活動に参加し、さらには地域活動の推進役になってほしいと願い、今後も続けていきたいと思います。