2023年3月13日、次世代の会定例会において「QURUWAアワード2022」が初開催されました。QURUWAアワードとは、7町・広域連合会および次世代の会関連の1年間の取組を振返り、関わった皆さんの労をねぎらうと共に、次の1年の活力を高めることを目的としたもの。
本誌108号で紹介した「7町・広域連合会」から、地域活動や自治に関わる次の世代を増やしていこうと、30-40代の地域内外の住民や事業者、行政職員等が中心となり「次世代の会」が立ち上がったのが2021年7月。以後、約1年半で空き家、高齢者の生活支援、SDGs、景観等、5つの部会が創設されるなど、次から次へと新しい活動が生まれてきています。2022年に新たに生まれた取組から、QURUWAアワード候補としてノミネートされたのが上の16のプロジェクト。
全国各地で地域活動の担い手不足が叫ばれる中、なぜこれほど様々な担い手や活動が生まれるのかー
今号では、次世代の会の経緯とQURUWAアワードを取り上げ、担い手不足解消のヒントを探ります。
地域活動の担い手不足と次世代の会
「地域活動の担い手不足」は、岡崎市に限らず、全国各地で共通の課題となっています。内閣府が全国の自治体を対象に行った調査(※1)によると、「役員・運営の担い手不足(86.1%)」、「役員の高齢化(82.8%)」を課題として挙げている自治体が8割以上にのぼります。
※1 内閣府(2017) 「持続可能な自治会活動に向けた 男女共同参画の推進について」より
これまで、一般的に地域活動の主力として、自治会や地域の活動を前期高齢者(65才~74才)が支えてきました。しかし、これからは、いわゆる団塊の世代が後期高齢者へ移行することで、前期高齢者の絶対数が減少。加えて、定年年齢の引き上げ等の影響で、前期高齢者の就業率が上昇してきており、地域の担い手はますます枯渇していく傾向にあります。
一方、籠田公園周辺の住民アンケートでは、20-40代の大半は、地域活動に関心はあっても時間的余裕がなくて関われていないということが明らかになりました。こうした背景から、地域活動や自治に関わる次の世代を増やしていこうと、30-40代の地域内外の住民や事業者、行政職員等が中心となり立ち上がったのが「7町・広域連合会 次世代の会(代表:佐谷 繁氏)」です。
QURUWAアワードのねらい
この1年間の次世代の会関連の主な出来事を振り返ると(上表)、多種多様な取組が生まれてきています。QURUWAアワードのねらいは、目まぐるしいほどの勢いで動いた1年間の活動を振返り、関わった皆さんの労をねぎらうと共に、次の1年の活力を高めること。次世代の会事務局と市、りたにより、次世代の会の定例会に議題として持ち込まれて部会として発展したもの及び派生プロジェクト(❷、❻、❾、❿、⓫、⓮、⓰)、公民の協働パートナー主催の事業(❶、❸、❹、❺、⓯)など16のプロジェクトをノミネートし、次世代の会参加者の投票により、以下の3部門にで相応しいプロジェクトを選定しました。
- A.新規活動部門 果敢なチャレンジ精神で新たな活動領域を開拓
- B.課題解決部門 創造的な発想と行動力で地域の解決に寄与
- C.魅力創造部門 将来のまちの財産となるような魅力創出に貢献
A.新規活動部門には❶高校生まちづくりプロジェクト(岡崎市ふくし相談課)、B.課題解決部門には❷おかすけねっと、C.魅力創出部門には❿景観部会(岡崎市まちづくりデザイン課)が選ばれました。3部門のうち2部門で行政のプロジェクトが選ばれたのは、「普段、苦情や文句は言われても感謝やお礼はされない公務員の努力にも光を当てたい」という次世代の会の姿勢を反映していると言えます。
次世代の会に学ぶ地域活動の担い手づくり
では、なぜQURUWAではこれほど多くの取組や担い手が現われるのでしょうか。
次世代の会は、籠田公園・中央緑道周辺の自治会連合組織「7町・広域連合会」の下部組織という位置づけですが、若手の自主性・自発性を尊重し、活動の自由度が担保されています。また、事業者に対してビジネスとして関わることを推奨することで、現役世代や事業者の参画を促しています。QURUWAで何かをしたい、始めたいという人に常に門戸が開かれていて、次世代の会の定例会でPRしたり、議題を持ち込むことが可能になっており、公民問わず様々な相談が舞い込みます。相互理解と調整のプロセスを経て、結果的に地域と担い手が連携する新しいエリアマネジメントのプラットフォームとなっているのです。次世代の会の実践から、地域活動の担い手不足を解消するには、「(若手の)自主性・自発性の尊重」「ビジネス的関与を受容」という姿勢と「開かれた相談・調整の場」を設けることで、開かれた地域活動のプラットフォームづくりが有効であると考えられます。とはいえ、いきなりこうした仕組みを実装するのはハードルが高いので、まずは地域行事やイベント等で上記3つの要素を入れて小さく始めることをお勧めします。りたとしても、そうした活動を応援してまいります。