かつては貸しボートや魚釣りをする人々の姿があたりまえの風景だった乙川。それがいつしか安全や秩序を保つために禁止事項が多くなり、徐々に河川敷に訪れる機会が減り、日常的に水辺を利用する乙川の原風景が失われていきました。
桜や花火の時期以外にも、乙川に賑わいある風景を取り戻したい。利用者の責任のもと規制を緩和し、公共空間の使い方のルールを明確にしたうえで、自由に使いこなしていく。そんな豊かな水辺空間での日常を、行政と民間が連携しながらつくりだしていくことを目指す社会実験「おとがワ!ンダーランド」が、昨年度より乙川を舞台に行われています。
今年度は期間中(2017年7月20日~2018年1月31日)の毎月第1水曜日(1月は除く)に、プログラム実施を検討されている方を対象とした説明会を開催。乙川河川敷を舞台に、数々のプログラムが定期的に開催されています。
担い手と共に、活動の定常化を目指す2年目
「おとがワ!ンダーランド」は、国が推進する「かわまちづくり」の対象として、「岡崎市」と「乙川リバーフロント地区かわまちづくり協議会」が河川管理者(愛知県)より河川占用許可を受け、実施するものです。りたは、「おとがワ!ンダーランド実行委員会事務局」として同協議会が河川の使用契約を結び、水辺を使いたい民間事業者の窓口および調整機能を担っています。本事業を実施する乙川リバーフロント地区は、民間の収益事業を可能にする規制緩和の特区に指定されています。
1年目の昨年度は、水辺を活用する新しい担い手を募集し、7月下旬から9月上旬までの1か月半に集中的にプログラムを実施しました。2年目となる今年度は、1年目に参加いただいた方々を始め、民間が自立して乙川河川敷を運用していくための体制の検討(担い手の育成)を目的に、殿橋から名鉄鉄橋までを実施エリアとして、期間を約半年間に広げ(7月20日~1月31日)、一般公募で選ばれたプログラムを順次、開催しています。
具体的なプログラムは、SUP・スケートボード等といったアクティビティや、観光船の運行、星空観望、自転車教室、アウトド
アオフィス、キャンプ、ワークショップ等の体験型プログラムなどです。また、第1・3土曜日の朝市、第2土曜日のリバークリーン、第4土曜日のナイトマーケットといった「定期プログラム」も加わり、季節を通して乙川の風景をつくりだすプログラムが生まれてきています。(10月15日時点で、23団体による32プログラムが応募 ※雨天による中止含む)
水辺の拠点となる「殿橋テラス」
昨年度、おとがワ!ンダーランドの一環として殿橋のたもとに実験的に設置し、好評だった「殿橋テラス」が9月23日~11月26日の期間に営業しています。
今年度は、収益事業による事業継続性の検証に加え、かわまちづくりの情報発信拠点としての役割、また水辺を活用する担い手との連携をはかりながら、今後の河川敷活用の核となる事業をつくりだしていく「コンテンツマネジメント」を運営事業者の新たな役割を期待し、一般公募により運営事業者の選定を行いました。
テラスの常設設置と民間事業者により自立した公共空間活用の実現に向け、一歩ずつ前進させていきます。
民間による自律的な運営、マネジメント体制の構築に向けて
今後は、社会実験の成果や課題の整理を行いながら、水辺を活用する担い手の方々とともに、公共空間の自立した運営体制の検討に入っていきます。一過性の賑わいづくりに留まらず、乙川の定常的な賑わいを生み出し、エリアの価値を高める仕組みへとつなげるべく、今後も検討を重ねていきます。
★3年目の「おとがワ!ンダーランド」に関する記事はこちら。