持ちつ持たれつ支え合う関係づくり -下山の挑戦-

掲載号: りたらしい 127 号
発刊日 2024年5月
農用地保全部会〈となりの田んぼ〉
施設運営部会〈YAMABIKO青空市〉
生活支援部会〈地域支えあい車両〉

 岡崎市の水源となる豊かな森林や自然環境を有する中山間地は市域の約6割を占めています。現在、中山間地では人口減少や少子高齢化、そしてそれらに伴う農林地・地域活動の担い手不足といった課題が深刻になっています。2021年、こうした地域課題に対処し、歴史・産業・文化などの地域資源を守り育てていくため、岡崎市に中山間政策課が創設され、「岡崎市中山間地域活性化計画(オクオカリノベーションプラン2023、以下「オクオカプラン」)」が策定されました。

 りたは、2021年より自主事業として下山学区の持続可能な地域づくりの取組を支援しており(本誌No.114参照)、2022年には、「岡崎市下山学区地域づくり協議会(事務局:岡崎市中山間政策課、以下「地域づくり協議会」)」が創設され、2025年の農村型RMO(地域運営組織:農用地の保全や生活支援を行い持続可能な地域社会づくりを担う)設立に向けて取り組んでいます。

 地域づくり協議会2年目の2023年度は、オクオカ活性化拠点下山(旧JA下山支店、通称:YAMABIKO)を拠点として、 4つの部会の取組が次々と花開く1年となりました。

2022年度|地域づくり協議会の設立と4つの部会の発足

▲活動方針をまとめたかわらばん(2022年3月)
 
▲地域将来ビジョン(2023年3月)

 2022年1月に実施した「下山のよりよい未来を考えるワークショップ」を踏まえ、下山学区の地域づくりの活動方針として、「1.遊休資産の有効活用」「2.移住支援の仕組み検討」「3.関係人口の創出」「4.地域プロモーション」の4つを定めました。

 2022年7月には「地域づくり協議会」が立ち上がり、上記4つのテーマに応じて「農用地保全部会」「生活支援部会」「施設運営部会」「地域資源活用部会」が設置されました。りたは本協議会の運営をサポートし、地域の課題に対し具体的にどのような取組をしていくかについて協議を重ね、翌3月に「地域将来ビジョン(案)」を作成しました。

2023年度|部会活動の試験的実施

▲地域主催の〈小さなやまがのウォーキング〉
▲〈YAMABIKO食堂〉ミネアサヒを使ったカレーライスは大好評

 2023年度は、地域おこし協力隊・成田奈苗さんの着任を追い風に、各部会の活動が次から次へと具体化していく1年となりました。

 農用地保全部会では、遊休農地を活用し主に小学生ファミリーを対象に1年を通じた農業体験プログラム「となりの田んぼ」を実施。試験的に定員5組で募集したところ、70組を超える応募があったため、急遽受け入れ態勢を整え(企画・運営はONE RIVERが支援)28組110名を受入れて、多くの方に下山学区の人々の温かさや自然環境の豊かさに触れていただく機会となりました。

 生活支援部会では、岡崎市社会福祉協議会(以下「岡崎社協」の仲介により愛知ダイハツ株式会社より軽ワゴン「地域支えあい車両」の貸与を受け、通学や通院、買い物を手助けする移動支援の仕組みづくりを進めています。

 施設運営部会では、YAMABIKOを拠点にして、地域内で収穫される旬の農作物を直売する「YAMABIKO青空市」(毎週日曜日10:00-14:00)を開始。また、岡崎社協、匠やの協力を得て、YAMABIKOに地域内外の老若男女が気軽に集い交流を深める場として地域食堂「YAMABIKO食堂」が定期的に開催され、地元の食材を用いたメニューが毎回好評です。

 地域資源活用部会では、インスタグラム「YAMABIKO通信」を開設し、地域づくり協議会の取組をはじめ、下山で行われている地域行事などの情報を発信。また、平日に運行されているコミュニティバス「ささゆりバス」の利用促進を兼ねた地域の魅力紹介パンフレットの作成を行っています。

2024年度|農村型RMOの設立に向けて

 このように、地域の方々が中心となり、多くの心強い協力者と連携することで、地域外の人々が下山学区に足を運ぶ機会が幅広く生まれ、下山の「関係人口」が徐々に増えてきています。2024年度は、農村型RMOの設立を目指す3か年の最終年として、りたはこれまで立ち上がった活動の体制や方法を精査しながら、地域内外の人々が関係を深めながら様々な形で地域づくりに関われる仕組みづくりの構築に向けて、引き続き支援をしていきたいと思います。