岡崎市は、2030年に市域の温室効果ガス排出量(以下、「CO2排出量」)の50%削減(2013年度比)、2050年にはCO2排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の達成を目指しています。2022年11月には、環境省よりカーボンニュートラルのモデルとなる「脱炭素先行地域」に選定され、公民が一丸となった脱炭素化の取組に力が注がれています。
そうした中、環境問題に関する知識だけでなく、カーボンニュートラルに向けた行動や思考を身に着け、実践していく人材の育成が必要不可欠です。そこで、りたは小中学生を対象とした体験型の環境学習プログラムの開発を、岡崎市の環境コンサルタント・グリーンフロント研究所㈱と協働で取り組んでいます(発注元:岡崎市ゼロカーボンシティ推進課)。
2023年度りたでは、岡崎市「高校生まちづくりプロジェクト」の協力を得て、現在企画中の体験型講座のプロトタイプとして「~水・ファッションから考える~こうすればいけるかも?!を見つけるワークショップ」を試験的に行いました。
カーボンニュートラルの基礎知識
●地球温暖化が進むとどうなるの?
岡崎市の気温は40年で1℃以上あがっており(5年移動平均)、このまま地球温暖化が進むと、真夏日・熱帯夜が続いて熱中症での死者増加や、風速65mを超える暴風・大雨の発生で都市機能が麻痺するなど、様々な問題が想定されます。
●カーボンニュートラルとは?
温室効果ガスの排出を実質的にゼロにすること。排出せざるえなかった分については、同じ量を森などで吸収することで帳消し(それを「ニュートラル」と呼ぶ)を目指します。
●なぜ、水とファッション?
CO2排出量の割合が高いのは「住居」「移動」ですが、今回のワークショップでは、それらに次いで割合が高く、世代や性別に関わらず行動を変えやすい「食」と「消費財」から、より身近なテーマとして「水」と「ファッション」に着目しました。岡崎市は、高い割合で市内の浄水場から配水していること、また、繊維リサイクル(反毛)産業が発達していることから、より高い効果が期待できます。
体験型プログラム
●水編
飲料水を選ぶ基準は、味・値段・入手のしやすさなどが考えられますが、その中にCO2排出量(脱炭素にどれだけ資するか)という基準を加えるべく、水道水、国産ミネラルウオーター、外国産ミネラルウォーターを飲み比べたり、それぞれの二酸化炭素排出の計算方法の考え方や実際の排出量を学びました。
プログラム後半では、水だけでなく、1日に摂取する飲料からCO2排出量を計測。その結果をもとに、岡崎市の目標である、CO250%削減に向けて、自分でできるアクションを考えることで、参加者の行動変容を促しました。
●ファッション編
華やかなファッションの世界。しかし、ファッション業界のCO2排出量は、航空業界と海運業界を合わせたそれよりも多いと言われています。そこで、参加者の皆さんに、家にある着ていない服=「たんすの肥やし」から、衣服の選び方・扱い方によるCO2排出への影響を学びました。
そして、ファッションに対して自分たちができるアクションを「レビュー」「リユース」「リフューズ」「リペア」「リサイクル」という『5つのR(5R)』に振り分けて意見交換をしました。後半は、実際に自分のたんすの肥やしとなっている洋服の取扱いを5Rに振り分けることで、CO2排出量をどのくらい減らせるのかを計測し、参加者全体でどの程度削減できるかをシミュレーションしました。