「北部地域福祉・医療・住民連携協議会」は、北斗病院(細川地区)を会場に平成27年に始まりました。同協議会は北部地域包括支援センター(以下、包括)が事務局となり、北斗病院の理学療法士や地域住民が地域福祉について語り合ってきました。
同協議会は当初、包括と北斗病院の2者間で始まりましたが、次第に出席者が増えたこともあり、最近では「意見はたくさん出るものの活動に至らない」という問題を抱えていました。この会議に参加していた地域住民からの提案で、当法人へ会議運営の支援要請が寄せられました。そして、平成29年度の1年間にわたり、包括職員に伴走する形で会議運営の支援をした結果、意見をもらうだけだった協議会から具体的活動につながる協議会へと変貌を遂げました。
今号では、そのサポートメニューやそれによって見られた変化についてご紹介します。
●支援に至った経緯
『北部地域医療・福祉・住民連携協議会《細川分会》(以下、協議会)』を主催する北部地域包括支援センターの方から「会議を開いてはいるが会議の進め方が分からず参加者の発言を拾いきれないので、ファシリテーション※1を教えてください」という依頼がありました。この協議会は、住民主導の地域福祉の実現を目指しており、“市民自治”の実現を目指すりたとしてこのような動きをサポートすることは非常に大切なことと考え、平成29年度の1年間にわたりサポートをすることにしました。
はじめに協議会を見学した際に、いろいろな意見が飛び交い各出席者が地域のことを自分事にとらえていることは分かりました。そこで、意見を出し合う“だけ”の会から具体的アクションにつなげる会にするためのサポートメニューを提供することとしました。
●支援前に見えた協議会の課題
①集まることが目的化しており、議事の事前打ち合わせが出来ていなかった。協議会の議事次第も整理されていなかった(議題設定や時間管理も特段行っておらず流れに任せて進行することが多かった)。
②ファシリテーター※2不在のため話題が錯綜しており、よい意見が出ていても、それをアクションにつなげられずにいた。 (主催者・出席者ともに何を話す場なのか、何を決めたいのか、を無自覚に話すこともしばしば)
●支援の内容
★「会議は事前準備が9割」の鉄則に則り、月1回の協議会の前に数回打ち合わせをして議題の整理と落としどころ(会議の成果)のイメージをもった上で当日を迎えるようにしました。
★当日はファシリテーター(進行)役・FG役(ファシリテーショングラフィクス=会議内容をホワイトボード等に可視化する役割)・記録役を、はじめの内はりた職員が見本を見せ、その後包括職員が実践していただく、というOJT方式で進めました。
サポートメニュー
①会議運営の基本的考え方
②議題整理のコツ
③ファシリテーターのコツ
④FG(ファシリテーショングラフィック)のコツ
⑤議事録の取り方
●支援の成果
◎包括職員が会議運営において適切な役割分担ができるようになりました。
◎事前に落としどころの目途をつけ、見通しを持って会議に臨めるようになり、しっかり議論を行い意思決定の出来る協議会になりました。
◎りたは、錯綜していた議論(出席者の提案内容)を「訪問型支援」と「拠点型支援」に分類しました。そのうえで、今年はまずは拠点型支援をメインに議論することに決定。拠点型支援(ほっとステーションと命名)の将来的な実現を目指し、29年度には3か所で試験的な実施が実現しました。
●平成30年度は他地域へも発展!
29年度にサポートを受けた包括職員の成長から、ぜひ他の地域にも!という話になり、30年度のりたは、2つの包括支援センター(竜美丘、六ツ美)を支援しています。
りたが第三者的視点で議論を整理することを基本とし、包括職員や地域が必要としているサポート内容を判断して提供しています。りたと包括がタッグを組んで「住民主導の地域福祉」を推進しています。
北部包括職員よりコメント
りたさんにSOSする前の私達は、地域の方と協働できる「何か」を模索して文字通り迷走していました。そんな中、りたさんからご指摘いただいたのは目的が複数ごちゃ混ぜになっている、ゴールイメージがない、更に会の進行が不十分!でした。最大の問題は「会議は事前準備が9割」の鉄則が分かっていなかったことだと思います。会議では、参加者全員が目的を共通理解し、その上で共に取り組めるものを形にしていく過程が何より大切なのだと学びました。