岡崎の魅力を発信する市民を育てることを目的に「岡崎カメラがっこう」を実施しました。
スマートフォンが普及したことから、誰もが気軽に写真が撮れて、すぐにSNSですぐに発信できる昨今、まちの魅力を伝え、「いいね!」と共感を呼ぶ写真は、どんな写真でしょうか。
広告写真のような公的な写真でもなく、家族写真のような個人的な写真でもない、そのちょうど間ぐらいにあるのが、地域の人と人をつなぐローカルフォト。その地域に暮らしているからこそ撮ることができる写真、その写真からその地を訪れてみたくなるローカルフォトでの情報発信に、今、注目が集まっています。
今回の講座では、ローカルフォトの名付け親で、その活動を行う写真グループ「小豆島カメラ」を立ち上げた写真家のMOTOKOさんと、同グループで活動する岡崎市出身の三村ひかりさんのお二人を講師としてお迎えしました。また泊まれる出版社「真鶴出版」を運営する川口瞬さんにもご参加いただき、ローカルフォトで大切にすることについて話をしていただきました。実際にカメラを持ってまちを歩いたり、人と話したりすることから、写真でまちの魅力を伝える学びの場を提供しました。
●12/18 『いいね!って思う写真ってなんだろう?』はじまりのトークライブ
MOTOKOさんと三村さんとのトークライブから、岡崎カメラがっこうはスタートしました。小豆島カメラは、小豆島在住の女性7人が、日々の暮らしのシーンを撮影して、島の魅力を発信する「地域×カメラ」のプロジェクトです。5年前からはじまり、毎日1枚ずつ日々の暮らしの写真が更新されるWebサイトには、少なくとも1500枚以上の写真がアップされています。キーワードは「見たい、食べたい、会いたい」。特に「会いたい」が伝わる写真として、撮影させてもらう人とコミュニケーションをとって、顔の見える写真を撮ることの大切さを話されていました。
●1/19・2/2 『カメラを持ってまちに出よう!』 撮影を実践してみるスキルアップ講座
1月・2月には、実際にカメラを持って歩きながら、まちの魅力を伝える写真を撮影するスキルアップ講座を行いました。事前のトークライブで話があった、まちの人とコミュニケーションをして、まちの人の顔がみえる「会いたい」写真を撮ることを大切にしました。
取材をさせていただいたLa Himawari(ラ・ヒマワリ)では、“昔は1階で生地を選んで2階で縫製してもらうオーダーメイドのお店だったこと”、三浦太鼓店では、“伝統的な太鼓作りを守りつつ、八丁味噌の樽を使った太鼓という新しくチャレンジしていること”などのお話を伺いました。こうして実際に話を聞くことで、話をしてくれた人と距離が縮まり、近所の人と会話している時のような自然な表情を引き出せることを学んだのです。
この2日の講座を通して、まちの魅力を伝えるには、写真を撮らせてもらう人とコミュニケーションすることに加え、実際にお店のサービスを体験し、楽しむことが大切だと参加者は実感していました。まちの人との会話を楽しんだ参加者の写真は、SNSを通じて見た人にも「この人に会ってみたい」という写真になったのではないかと感じられました。
12月のトークライブでは「#岡崎カメラがっこう」でハッシュタグ検索をしても、岡崎城や東公園などの風景写真ばかりだったのが、スキルアップ講座後は200枚以上の魅力的な人の顔が見える「会いたい」写真があふれるようになりました。
●3/2 『考えてみよう!人とまちをつなげる写真って?』 振り返りのトークライブ
最後に、これまでの活動を振り返るトークライブを開催しました。トークライブの意見交換の中で、スキルアップ講座の参加者からは、「岡崎は好きだけど、どこが好きかわからなかった。人に会いに行って話をすることで、いいまちだなと思えるようになった」「岡崎出身でないこともあり、岡崎があまり好きではなかった。この講座を通じて、まちの見え方がガラッと変わって岡崎が好きになった」など、ローカルフォトを通じて、第三者にまちの魅力を伝えたことにより、参加者自身がまちを好きになったという気づきもありました。
MOTOKOさんからは「みなさんの考える三歩先(ちょっと先)の未来を想像して写真を撮ってほしい。ここで出会ったみなさんがまちであった時にお互いに声をかけて話をしたり写真を撮ったりしてください」というメッセージを、三村さんからは「自分の普段の暮らしの中で、カメラを持って出かけてみて、まちの人とコミュニケーションをとってみてください。そして、できれば撮影した写真を発信してもらえれば普段岡崎にいない私たちも見ることができてうれしいです」というメッセージをいただきました。岡崎のまちの人に会いたくなる写真が、“#岡崎カメラがっこう“の参加者から今も発信され続けています。