あなたの家の近くの公園に、こんな変化はありませんか?「最近、あの公園きれいになったなあ」「以前は暗くて誰も寄り付かない公園だったのに、最近は子どもたちがよく公園で遊んでいるなあ」など。もし心当たりがあれば、それは「公園愛護運営会」のおかげかもしれません。公園愛護運営会は岡崎市独自のパークマネジメント(公園経営)の仕組みです。「この公園に関わりたい」という想いを持った市民・NPO・事業者等が集まって公園愛護運営会を設立し、行政と協働して公園の管理と活用を担っています。りたは2016年から、公園愛護運営会の設立支援を行っています(※詳しくはLitaracy vol.88を参照)。公園の現状と課題の把握、管理・活用の担い手探し、清掃や活用イベントの試行などを経て、1~2年程かけて会の設立に至ります。現在、5つの公園愛護運営会が10の公園を対象にして活躍していますが、今回はそのうちの一つ、福祉事業所と地域住民が協働で公園の管理と活用をしている「伊賀公園愛護運営会」の活動を紹介します。
伊賀公園大作戦!! -公園の改良・管理・活用-
伊賀公園は、斜面地にクスノキの大木がたくさん生えている緑豊かな公園です(約3,200㎡/街区公園)。伊賀公園愛護運営会は2018年10月から設立検討を始め、2021年4月に設立されました。主なメンバーは、一般社団法人あすなろ(就労継続支援B型のカフェを運営する福祉事業所)と地域住民有志です。
※上図は参加呼びかけのチラシの一部。地元のお母さんが作成。
●改良と管理
1.改良(市民有志&行政)
公園活用を巡って、まず地域住民へのアンケート調査を行いました。当時、住民の方々は伊賀公園を「暗い」「汚い」と感じていることが伺えました。そこで、市民有志を募り、手入れされていない低木の伐採や岩の撤去を始め、これを応援する形で行政が岩の撤去作業を進め、公園が広く明るくなりました。
2.維持管理(福祉事業所&市民有志&老人会有志)
以前は老人会が公園の除草・清掃をしていました(月2回程度、5人くらい)が、メンバーの高齢化によって活動継続が難しくなっていました。一方、あすなろは利用者(障がい者)が地域とのつながりを持てる活動をしたいと考えていたため、試行的に、あすなろと地域住民の協働で公園清掃を始めました。その後調整を重ねて、現在は、地域住民や老人会の有志が草刈り(月2回程度、15人くらい)をして、あすなろが草集め・ゴミ拾い・トイレ清掃(週5日程度、4人くらい)をしています。
●活用
■グラウンドゴルフ大会(福祉事業所&老人会、2020年6月)
老人会の清掃活動にあすなろが協力を始めたことをきっかけに、老人会主催で、あすなろの利用者を交えたグラウンドゴルフ大会が開催されました。
■七夕ウィーク(市民有志&福祉事業所、2021年7月)
七夕前後の1週間、公園に笹と短冊を設置して、来園者が自由に飾れるようにしました(50枚を超える願い事が集まりました)。
■プランター菜園(市民有志&福祉事業所、2021年9月)
まちなかで菜園を増やす活動をしているNPO法人おかざき農遊会に技術支援を依頼して、市内の公園で初のプランター菜園を設置しました。
●伊賀公園愛護運営会メンバーの声
あすなろが公園の清掃に関わるようになって2年半ほど経ちました。あすなろの利用者さんは新しいことに取り組むのが苦手な人も多く、最初はあまり気が進まなかったのですが、今では雨の日でも「伊賀公園へ行こう!」と言ってくれるくらい、清掃活動を楽しみにしています。
中澤さん(代表、あすなろ職員)
以前は暗いイメージの公園でしたが、今は明るくきれいな公園になりました。遊具周りで親子連れが遊んでいたり、学校帰りの高校生たちがベンチで休憩していたりと、以前より公園が利用されているように感じます。
野々山さん(副代表、地元住民)
地域の方とのふれあいが、利用者さんの貴重な経験になっています。プランター菜園の植え付けに参加した利用者さんが、農遊会さんに教えてもらった法性寺ネギの植え方をしっかり覚えていて、参加できなかった利用者さんや職員に教える姿に感動しました。
猪飼さん(清掃グループ、あすなろ職員)
●まとめ
伊賀公園では、公園愛護運営会の設立検討・活動を通して、明るくて使いやすい公園に生まれ変わると同時に、福祉事業所の利用者と地域住民の交流や、地域住民同士の交流が生まれています。新たなコミュニティづくりの場としての公園に期待を膨らませつつ、今後も公園愛護運営会の普及活動を進めていきます。
<市内で活躍する公園愛護運営会の活動例>
参考:公園愛護運営会については、岡崎市HPをご覧ください。